健康食品やサプリメントは薬ではありませんが、薬との飲み合わせがよくないものもあり、使用方法を間違えると体に害を及ぼす可能性があります。
例えば、牛乳で抗生物質を含む薬を飲んだ場合、一部の抗生物質ではカルシウムと反応し、十分な効果が得られません。
牛乳以外でも、カルシウムやマグネシウムを一緒に取ることで、薬の効果に影響を及ぼす可能性もあります。
また、ワルファリンという血液を固まりにくくする血栓予防の薬を、納豆やクロレラを一緒に取ると薬の作用を弱めて、血栓症を起こしやすくなる可能性があります。
サプリメントや健康食品は健康補助食品のひとつです。身体に必要な栄養素を摂取することを考えるのであれば、規則的でバランスの良い食事を意識することも大事です。
薬と併用する際は、かかりつけの医師や薬剤師に利用しているサプリメントや健康食品を伝えていただき、対応についてご相談ください。
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ご高齢になるとお薬の効き方が変わってきますか?
人間は加齢とともに体重が減少したり、臓器などが萎縮し機能が衰えていきます。
お薬を分解・排泄する肝臓や腎臓の機能が低下してしまうと、お薬がなかなか身体から出にくい状態にもなり、その結果お薬の効き方に影響する場合もあります。
また、ご高齢の方は複数の病気をかかえている場合が多くみられ、お薬の飲み合わせによって効き方が変わる場合もあります。
お薬の服薬でお気になることがありましたら、まずは医師や薬剤師にご相談ください。
切り傷や擦り傷の治療に消毒薬を使わないほうが治りが早いと聞きましたが、本当ですか?
傷ができた時に出る体液には、皮膚再生に大切な役割を果たす成分が含まれいます。その体液を保持し、潤った環境を保つことで、皮膚の再生や傷の修復が促されます。
そういった再生をしようとしている傷部分の細胞やその他の正常な細胞に対して、消毒薬の成分が悪い菌への効果と同時にダメージを与えて、治りにくくしている場合があります。
切り傷や擦り傷などのケガの処置は、下記の手順を行いましょう。
1.傷口から出血している場合はまず止血を行う。
2.消毒液は使わずに、傷口を水道水やぬるま湯できれいに洗う。
3.適切な「創傷被覆材」を使用して患部を保護し、傷を乾かさないようにする。
4.創傷被覆材の表面に滲出液が染み出してきたら、交換をする。
※創傷被覆材は、薬局などでお求めいただけます。
ただし、異物が刺さったり、動物にかまれた傷などは必ず医師の診察を受けましょう。
また、消毒薬が必要な場合もございますので、医師や薬剤師にご相談ください。
薬の使用期限について教えてください。湿布薬などでも期限が切れたものを使用するのは良くないのでしょうか?
医薬品の使用期限は、薬の種類に関わらずその期間まで安全に使用でき、かつ厚生労働省が認めている効能効果があるということです。
したがって、期限が過ぎて使用した場合は薬の効能や効果が十分に発揮されなかったり、薬に含有されている成分が変質する可能性があり、それが原因で健康被害が出ることも考えられますので、使用期限の過ぎた医薬品を使用することはやめましょう。
ちなみに、湿布や軟膏などの外用薬に記載されている使用期限は、あくまで未開封のままで品質が保証できる期限を記載しています。開封後は、湿布剤のチャックや軟膏などのふたがきちんと締まっていないと、乾燥等により品質が早く劣化する可能性がありますので注意しましょう。
保存方法については薬に同封されている説明書通りにすることが大切です。
また、点眼薬は開封後1か月、軟膏は開封後3か月が使用期限と言われています。古いものは使わないようにしましょう。
ポリファーマシーについて教えてください。
ポリファーマシーとは、「poly(複数)」+「pharmacy(調剤)」からなる言葉で、多くの薬を服用することにより副作用などの悪影響が起きている状態を指します。
仮に多くの医薬品を使用していても、患者さんの治療や健康管理に必要な場合は、ポリファーマシーの該当にはなりません。ただ、少ない医薬品を使用していて、医薬品同士の相互作用が疑われる場合、同じ成分の医薬品が重複している場合、使用する理由が明確ではない医薬品が含まれいる場合などは、ポリファーマシーの可能性があります。つまり、ポリファーマシーとは、薬の多少で判断される状態ではなく、様々な要因によって「必要以上の医薬品を使用している状態」が該当となります。
ポリファーマシーを予防する際は、ご自身の判断ではなく、まずは医師・薬剤師にを相談してください。減らせる薬があるかどうかの判断や飲み方を工夫したり配合剤に変更したり、身体への負担が少ない薬への変更提案等をさせていただきます。
また、お薬手帳の使用やかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師制度を活用していただくことで、使用しているお薬についてより具体的に情報共有することができますので、ポリファーマシーの解決につながります。
メディカルファイブでも、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師の取り組みを積極的に行っておりますので、お気軽にご相談ください。
点耳薬の正しい使い方を教えてください。
点耳薬をさす前に、医師・薬剤師の指示のもと綿棒や脱脂綿で耳の外側の汚れや耳の中の分泌物を取り除いたあと、手をしっかりせっけんで洗いましょう。
点耳薬をしばらく手で握り、体温と同じぐらいに温めてから使いましょう。冷たい点耳薬を耳にさしてしまうと、めまいを起こす事があります。
点耳薬をさす時は、容器の先端が直接耳に触れないように注意しましょう。薬をさす耳を上にして、横向きになり、外耳道の入口が水平になるようにします。そして師耳たぶを軽く引っ張りながら、耳の壁に沿うようにそっと流します。
点耳薬をさしたあとは、耳たぶをまわすように軽く引っ張ってなじませてください。そして薬の効果を高めるため、すぐに起き上がらず、その体勢を保つようにしてください。
(点耳:約2~3分、耳浴:約10分を目安にしてください)
目安時間を保ったあとは、清潔なガーゼやティッシュなどを耳に当てて、外に流れ出た薬液を拭きとってください。
また点耳薬の保管方法や使用量については医師・薬剤師の指導に基づいてご対応ください。
湿布薬にはパップとテープがありますが、どのような違いがありますか?
一般的に湿布薬は形の違いでパップ剤とテープ剤に分かれます。
パップ剤は白い厚手の湿布です。水分を多く含むのが特徴で、冷却効果があるため急性の痛みに効果的です。種類によっては皮膚への密着度がテープ製剤に比べると低く、剥がれやすさもあります。
テープ剤は薄く肌色の湿布です。パップ剤にくらべてピタッと貼ることができるのでよく動く関節や筋肉に貼っても剥がれ落ちる心配がほとんどありません。そのため慢性的な痛みでも使いやすいです。ただし、皮膚への密着度が高いためかぶれや蒸れといった皮膚への負担が多くなります。
形以外にも、成分によって湿布薬はいくつもの種類に分けられます。
症状によって使い分けしますので、詳しくは医師、薬剤師にご相談ください。
「消毒」「除菌」「殺菌」「滅菌」の違いを教えてください。
「消毒」は、菌やウイルスを無毒化すること、「除菌」は、菌やウイルスの数を減らすこと、「殺菌」は菌やウイルスを殺すこと、「滅菌」は有害・無害を問わず、すべての菌(微生物やウイルス含む)を死滅・除去することです。
強さは滅菌>殺菌>消毒>除菌となります。
「消毒」は、“薬機法”という医薬品や医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づき、厚生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した「医薬品・医薬部外品」の製品に記されています。
なお、「医薬品・医薬部外品」の「消毒剤」であっても、それ以外の「除菌剤」であっても、全ての菌やウイルスに効果があるわけではありません。
また、手指など人体に使用する場合は、品質・有効性・人体への安全性が確認された「医薬品・医薬部外品」を使用しましょう。そして、その他の消毒剤・除菌剤を購入・使用する場合は、使用方法、有効成分、濃度、使用期限などを確認し、情報が不十分な場合には使用を控えましょう。
現在、「消毒」や「除菌」の効果をうたう様々な製品が出回っていますが、目的にあった製品を、正しく選び、正しい方法で使用しましょう。
厚生労働省のホームページでも記載がありますので、こちらもご参考にしてください。
夏バテの対策や予防について教えてください。
規則正しい生活のもと、食事、運動、睡眠のバランスが大切です。
食事に関しましては、1日3回、規則的に食事をとり、冷たい食べ物や飲み物はとりすぎないように注意し、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルがとれる栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。
疲労回復にはビタミンB1が役立ちます。ビタミンB1は豚肉やレバー、うなぎや大豆などに多く含まれています。
夏の緑黄色野菜にも、ビタミンB1・B2、ビタミンC、カロチンや、鉄、カルシウムなどのミネラルが多く含まれています。
そして、水分補給も気にかけましょう。飲み物は胃腸を冷やす冷たい物ばかりではなく、温かいお茶などで補給するものよいでしょう。
そして適度な有酸素運動と、しっかりと睡眠時間の確保をしてください。
また冷房設定も注意してください。体温調節は、交感神経・副交感神経のバランスによって保たれています。
しかし、温度差が大きい環境では、この神経のバランスが壊れてしまいます。冷房の設定は、外気温との差が、5℃以下を目安としましょう。
「新しい生活様式」が示され、マスク着用による熱中症のリスクが高まると聞きました。予防・対策について教えてください。
高温や多湿といった環境下でのマスク着用は、心拍数や呼吸数、体感温度が上昇するなど、マスクを着用していない場合と比べて身体に負担がかかるおそれがあります。
そのため熱中症のリスクが高くなる可能性があるので、周囲の人と十分な距離(少なくとも2m以上)が保てる状況では、マスクを一時的にはずして休憩するなど体調を整えるようにしましょう。
またマスクを着用する場合には、激しい作業や運動は出来るだけ避けること、そしてのどが渇いていなくてもこまめに水分補給を心がけましょう。
外出する際は気温の高い日や時間帯を避け、涼しい服装で出かけることを心がけましょう。
「新しい生活様式」では、定時(毎朝など)の体温測定、健康チェックが示されています。これらは、熱中症予防にも有効です。
ご自身の身体を知り健康管理を行うことで、発熱に早く気づくこともできます。
また、体調が悪いと感じた時は、無理せず自宅で静養するようにしましょう。
※環境省・厚生労働省作成の令和2年度の熱中症予防行動リーフレットPDFはコチラ